スゴ録(DVD レコーダー)が勝手に録画してくれたので見てみたのだがこれは面白い! 全くノーマークだった。あらすじはこんな感じ。
海軍の水兵とその家族を乗せたフェリーが、突然大爆発を起こした。現場を捜査した結果、爆発がテロだったことが判明。
さらに、爆発現場の近くで発見された女性の死体が、殺人によるものだということも判明した。
その死体の女性・クレアに奇妙なデジャヴを感じた主人公。ある捜査スタッフ達と共に4日と6時間前の映像を見られる監視モニターを見せられる。彼がその映像にレーザーポインターをかざすと都市に一時的な大停電が起こる。実はそのモニターは偶然誕生した、実際の過去をモニターできる装置だったのだ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/デジャヴ_(映画)
無差別テロと、それに立ち向かう捜査員を主人公にしたサスペンス……最初の印象はそうだった。大筋としてはそれで間違っていないのだが、話の軸となる“実際の過去をモニターできる装置”の存在が特異である。
この装置は“実際の過去”を見ているわけではない。よくあるタイムトラベルものとは少し設定が違うのだ。
この装置は“別の宇宙を観測している”のである。粒子加速器か何かの実験中に時空連続体に“穴”が生じ、それが 4 日と 6 時間前の時空へつながってしまったのだ。
しかしその結果、観測対象となる“過去”は現在の時空とは直接連続しなくなってしまった。主人公がモニターに映るヒロインに対してレーザーポインターをかざすと、彼女は驚いたようにこちらを見つめた。モニターの中の彼女が、だ。
つまり、現実世界とモニターの中の世界は所謂“平行世界”の関係にある。こちら(現実)からあちら(過去)に与えた影響はこちら(現実)には影響を及ぼさず、与えた影響の数だけ別の平行世界が生じる。
主人公は起こってしまったテロを防ぐためにあちら(過去)に干渉するのだが、例えそれが成功したとしてもこちら(現実)には影響がない。起こってしまったことは変わらないのだ。
この辺が曖昧に済ませられてしまったのは少々残念1だが、こういうマニアックな SF 設定を一般人向けの娯楽映画の小道具として使うというのが新鮮だった。古くは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」、最近なら「バタフライ・エフェクト」などが類型だと思うが、これらよりももう少し突っ込んで、より科学的な(あるいは衒学的な)説明を試みた点が良かった。
まあラストはいつものブラッカイマー映画と一緒でご都合主義なオチだったのでそれがちょっとね……。ネタ的にはより悲劇的なオチ2を期待したんだけどこの辺が限界かね。
それでも、この題材を日本で作ったらマニアックなアニメ映画になってしまうところ、大スペクタクルな実写映画にしてしまうハリウッドはなんだかんだ言ってスゴいのだと思った。